英国の登山家のカトマンズ探訪を読む 思い出すネパール人との思い出

一人の英国の登山家にとって、秘境ネパールの首都カトマンズは、時が移り変わっても、目もくらむほど素晴らしく、魔法の町である。彼の記憶はいつも生き生きとよみがえり、心温まるものになる。
この登山家はクリス・ボニントン氏。生涯でヒマラヤに19回遠征し、遠征隊長としてイギリス隊のエベレスト南西壁初登攀やアンナプルナ南壁初登攀を成功に導いた。この功績を認められ、サーの称号を得ている。83歳。
ボニントン氏が最初にこの首都を訪れたのは1960年。英国隊が7937メートルのアンナプルナ南壁に初めて登頂したときである。
そのときにはカトマンズにはホテルが一つしかなかったという。今では数百のホテルやゲストハウスが建ち並ぶ観光都市。彼はカトマンズ・ゲストハウスを推奨する。最高のホテルに泊まりたければ、ホテル ヤク & イエティ(Hotel Yak and Yeti)がよいという。
カトマンズを訪れるベストな時期は、モンスーンに見舞われる6~8月。ボニントン氏はこう話す。自動車の排ガスで汚染されている世界一の町だが、雨上がりに排ガスが霧散し、素晴らしいヒマラヤ山脈が遠望できる。
この素晴らしい景色をカトマンズのどこから見たら良いか?ボニントン卿はスワヤンブー仏教寺院からの眺めを推奨する。この寺院はネパール語でスワヤンブナート。ネパールのカトマンズ盆地にあり、ネパール最古の仏教寺院ともいわれる。「カトマンズの渓谷」にあり、ユネスコ世界遺産に登録されている。 その寺院はカトマンズの中心部から西に3キロほど離れた丘の上にたっている。
私は一度もこの国を訪れたことがない。20代の頃に訪れた友人が「朝日に輝く黄金のヒマラヤは、見た者でしか分からない」と語る。
私は英国にいる頃、一人のネパール人とカトリック系の寄宿舎で知り合ったのを思い出す。彼はロンドン大学の学生だったが、薬が原因で75%失明した。医療過誤だ。
病院を相手取り裁判に持ち込み、6千万円の賠償金を勝ち取った。しかし彼の人生は100%変わってしまった。母国に帰れば、高級官僚として、将来を約束されていたのだが・・・。
この裁判が新聞で報じられ、証券会社や投資会社がやってきた。私は彼にネパールに帰れば、一生暮らせる金だ。決して「儲け話に乗って騙されるな」と助言したことを思い出す。彼は帰国した。生きていれば還暦を過ぎているだろう。彼が帰国して以来、音信はない。
英紙「ガーディアン」のネット版に掲載されているボニントン氏のカトマンズ探訪を読み、まだ行ったことがないかの国に思いをはせ、そして40年前の彼との出会いを思い出した。
写真:スワヤンブー仏教寺院から見るヒマラヤ山脈
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